都市組織の動態の学をめざして
建物類型学(tipologia edilizia)の有用性は、まずもって組織(tissue)を構成するあらゆる建物を「類型 tipo」として見る視点を提供し、そうして都市現象の複雑さや個別性にたじろぎそうになる私たちの視界を、一挙に明るく透明なものにしてくれることにあります。
そして、おそらく土地・建物の凝集構造(組織)をつくる最も基本的な建物類型は、おそらく中庭型(corte)、狭長型(schiera)、塔型(torre)の3種に集約できてしまうでしょう。これら以外を想定することはきわめて難しいのです。
さらに、イタリアの都市史が教えてくれるように、中庭型→狭長型というような土地細分化にともなう建物類型の変化が、すなわち組織の書き換えプロセスでもあるわけです。
台湾海峡にうかぶ澎湖群島の吉貝という小さな島の集落にも、この3種が揃い、それ以外の類型は見当たりません。しかし、半世紀前までこの集落には中庭型しかなく、宅地はほぼ同形・同規模の間口10×奥行14m前後であった。この土地建物資産の相続に伴う分割が、タテ1/2すなわち5×14mの宅地をつくると片廊下をもつ狭長型を、1/4すなわち5×7mにまで分割すると塔型を、生成する。
2009-2014年の台湾調査(ブログ):
・2014年度 台湾調査(沙仔崙)
・2012年度 台湾調査(北斗)
・2010年度 台湾調査 その1|その2|その3|その4|その5|その6|その7|その8(台南)
・2009年度 台湾調査(吉貝)
これら調査の成果は、日本建築学会大会にて報告しています。
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